ライフスタイルはそれぞれ！南島原で見つけた私(私たち)の生き方
ライフスタイルはそれぞれ！
南島原で見つけた私の生き方
南島原で見つけた私の生き方
長崎県でも南の方に位置する南島原市。温暖な気候と太陽の光をたっぷり浴びて育つみかんは、この土地の宝物です。近年、この地で新たに「みかん農家」としての人生を歩み始める人が増えています。
その拠点となるのが「南島原農業研修生 トレーニングファーム」
「農業に興味はあるけれど、自分にできるだろうか」、「家族がいるから、一歩が踏み出せない」、そんな風に思っていませんか？ご安心ください。ここには、あなたと同じように悩み、そして決断した先輩たちがいます。独身で、家族と一緒に、夫婦二人で。様々なかたちの家族が、それぞれの夢を追いかけています。今回は、現在研修に励む２期生と卒業した１期生のリアルな声を聞きました。
— INTERVIEWEE —
南島原フロンティア ２期生
佐々木さんご夫婦
（東京都から）
南島原フロンティア ２期生
松尾さん
（兵庫県から）
１．介護職から転身。
夫婦で一緒にチャレンジ！
ーー前職は何をされていましたか？
お互い介護の仕事をしていました。たまたま介護の資格を取るのに同じ学校に通って、クラスメイトだったんです。
ーー移住や農業研修生に関しては、色々な地域を探されました？
探しました。ただ、そもそも農業かっていうのも全くなく、とりあえず「あー、なんかちょっと、東京じゃないとこに住みたいなぁ」っていう思いがあったので、移住の相談窓口に行きました。担当者と話をする中で、妻から「一緒に働ける仕事がいいよね」って。
前職はシフト制だったので、休みが全然合わない。「なんかもうちょっと、一緒にいる時間が増えたらいいよね」って話があって、「農業はどうですか？」と提案いただき、 「ああ、農業か！」って。 そこから農業を含めて移住先を検討し始めました。ただやっぱり、いきなり移住して農業はハードルが高いんで。
ーー「いきなり就農」はリスクが高すぎますよね。
調べていると農業体験があったので、最初に高知、次に愛媛、三重にも行って、最後に長崎に来ました。
ーー他の地域の農業体験はいかがでした？
高知は施設園芸の栽培で、ししとうの収穫をしました。他の人が生でパリッと食べて「おいしい！」と言ってたんですけど、生野菜を直接食べるのがあんまり好きじゃなくて（笑）あとハウスだと初期費用が結構かかるっていうのが。
ーー果樹がよいと思ったきっかけはありましたか？
農業体験をした後、なにか作物を作るんだったら「自分が納得できるおいしいと思えるものを作りたい！」と思うようになりました。野菜だと（おいしさを分かるには）調理しなければいけなかったりするので。それなら「フルーツ、果樹でいこう！」って。
ーー果樹であれば愛媛は良かったのでは？
妻は「もうこれ以外ない、みかんやる！」って。ただ、体験をして分かったのですが、畑や坂の勾配が強くて。今の年齢で出来ても、何歳まで出来るのか自信が持てなかった。そこで、他の産地も見に行こうとなりました。
みかんに絞って他の産地を見てみようと、三重と長崎に行きました。三重もすごく良くて、本当に迷いました。ちょうどそのとき三重で熊の被害のニュースがあり、収穫体験が熊アラートと南海トラフ警報でキャンセルとなりました。三重と長崎、両方良かったのですが、それが決め手となりました。
ーー九州に何か繋がりはありましたか？
全くない（笑）。お互いに北海道がルーツです。
ーー北海道で農業という考えはなかったですか？
親に東京以外に行くかもしれないと相談したところ、「どこでも良いが、雪が降るところはやめておけ」と言われました。
ーーずっと二人でしていくわけですが、喧嘩はないですか？
こちらに来てから増えました（笑）。喧嘩したらその日のうちに終わらせるようにしています。研修が終わってから、家庭菜園をしているときに話し合ったりします。
ーー逆に夫婦だから良い点はありますか？
農業は山奥に行くことがあるので、何かあった時など二人でいたら気付ける。そこは夫婦の強みかなと思います。
あと、いつも身近にいるので何でも相談しやすい。まあ、またそれで喧嘩になったりもするんですけど（笑）。
ーー南島原市の良いところ、不便なところは何ですか？
星空がとても綺麗。天の川まで見えることに驚きました。東京では見たことがなかった。
不便なところは、車が必須なところ。ただ、買い物とかも含めて本当に不便なところはあまりないです。
ーー夫婦でこの南島原農業研修生を考えられてる人に、何かアドバイスはありますか？
全員に対して、「ここがいいよ！」とは、正直言い切れない。その人その人で大事に思ってることが違うと思うので。だから大切なことは、『その人たちにとって一番大事なことを決めて』、いろんなとこを見て回らないとって思います。
そしてもしここに来るとしたら、夏は熱中症対策、冬は防寒対策をしっかりしないといけない。自分を守るのは自分しかいないって、すごく感じているので。
あと、一番楽しい作業は収穫ですが、レモンのように棘のある品種は大変です。作りたい品種はどういうものなのか、事前に調べておいた方が良いです。
自分たちみたいに農業未経験で一切触れてこなかった人でも、ここで研修を受けることで農家ができるという姿を見てもらって、研修生を検討している方に「自分たちにもできる！」って思ってもらえれば嬉しいです。
どの作業もそうですが、収穫までには大変な作業もあるので、それも事前に分かっておいた方が良いと思います。
２．興味があった農業に、
女性単身で挑戦を決意！
ーー前職は何をされていましたか？
企業で事務職をしていました。
ーー就農を検討するきっかけは？
仕事をするなかで「物作りの仕事に興味があるな」と思ったのがきっかけです。玉ねぎ農家の友達がいて、そこに手伝いに行ったときに、収穫したものをその場で食べたり、友人と調理して食べたり、とても楽しい経験でした。そのあたりから、第一次産業に興味を持つようになりました。
その時は友達から「農業はきびしいし、しんどいからやめとけ」と言われ、そこまでは考えませんでした。ただ、農業や物作りもいいな、という思いはずっとありました。
ーー農業研修生の申し込みに踏み切った理由は？
勤めてたら色々あるじゃないですか。そこで他に出来ることはあるかなと、関心のあった農業について色々と調べていたら、南島原トレーニングファームが出てきました。 「お、何これ？」と。
「移住かー、大丈夫かな？」っていう不安はありましたが、「でも、行こか！」みたいな。行ってみないとわからないですし。
ーー研修が始まって、率直な感想はいかがですか？
最初は収穫から入ったので「楽しい！」という印象がありました。足元を確認しながらバランスを取って木に登っていき、たわわに実ったみかんに囲まれて作業をしているときに幸せを感じました。
ただ、大変な作業もあります。今まさに暑い最中の草刈りとか、溶けてしまいそうと思いながら作業をしています。あと一日中ずーっと屈んだ姿勢での作業も大変です。どうやったら楽にできるかを考えながら作業しています。
研修でお世話になる農家さんはみなさん優しくて、わからないことがあっても質問すれば丁寧に教えてくれます。作物も惜しみなく分けてくださいます（笑）
ーー南島原市の良いところ、よくないところは？
視界を遮る大きな建物がない。景色が360度すべて綺麗なんですよ。あとアウトドアアクティビティが好きなので、山に登ったり、川で遊んだりできるところ。直売所に行けば新鮮な作物が安く買えます。
不便なところは、やっぱり交通手段ですよね。公共交通機関が少ないので自家用車がないと移動できないです。車は持って来ました。
ーー現時点で2年間の研修が終わった後は、どんな農業をイメージされていますか？
食べた人がおいしいと笑顔になるようなみかんを作りたいです。木の動きや天候、土壌をよく観察して、みかんの木を理解できる農家になりたいです。そして、余裕や時間配分ができるようになったら、別のものを作ったり加工したりと、色々考えています。
ーー女性単身で農業研修生になろうか悩まれている人もいるかと思います。アドバイスはありますか？
私は年齢もギリギリ、体力もギリギリなんで、不安はいっぱいあるんですけど、やっぱり「やらない後悔よりは、やった後悔」の方がいいと思うので、迷っているんだったら飛び込んじゃえって言いたいです。
