第1期生による”リアルトーク”

当協議会運営の『みかん農家育成トレーニングファーム』
第2期生の応募を検討されている方の中には
「県外からの移住も大丈夫?」「家族が一緒でも問題ない?」
など様々な、疑問や心配があるかと思います。

そこで今回は、第1期生のお二人をむかえ、
「応募前に考えていたこと」
「研修生になってから感じたこと」を、
NGワードなしで赤裸々に語っていただきたいと思います!



INTERVIEWEE

元エンジニア。県外からの参加

百田 貴大(36)

熊本県出身。前職ではバッテリー技術開発を担当。

ファミリーと共にUターン

本田 峻平(33)

南島原市出身。前職では就労支援の職業指導員を担当。

01 1週間どんな研修を行なっているんですか?

百田
みかんの作業がある時期は、みかん農家さんのもとで一緒に作業しながら学びます作業がない時は主に座学でみかん栽培に関する知識を学びます。そして、週に一度、この施設(有家蒲河地区高齢者研修センター)で、1週間の振り返りを行なっています。

すでにフィールドワークでは、20以上のみかん農家さんのもとで学び、とても参考になっています。

02 農家さんによって、栽培方法が違ったりしませんか?

本田
そうですね、それぞれの農家さんでやり方も少しずつ違いますが、各農家さんが共通して教えてくれる内容は「絶対に外せないこと」だとわかるので、とても勉強になります。
百田
また、正しい栽培方法が一つあるのではなく、圃場によって日当たりや土地の性質が変わるので、「その圃場を見極めて栽培方法を考えないといけない」という、良い気づきになりました。

03 指導が厳しい農家さんもいるんじゃないですか?

本田
山間部の急斜面で肉体的にキツい圃場はありますが、農家さんはみなさん、とても親切に教えてくれます。
百田
農家さんの年代もそれぞれで、休憩もしっかりとりながら作業される農家さんもいれば、バリバリと作業をされる農家さんもいるように、私たちの作業に求められるレベルが高い農家さんも実際にはおられます。

04 きちんと休まれていますか?

本田
市役所と同じく、土・日・祝日がお休みです。
百田
一般的な農業研修は「ひとつの農家さんに弟子入りする」形なので、農家さんの休みに合わせることになります。つまり、雨が降れば休みなど、休日が不規則になることがあります。

ここの研修生になる前、別のところで農家さんにお世話になったことがあるのですが、そこでは早朝からの作業が2週間休みなしで続きましたw

今は、基本9〜17時が研修時間となります。

05 どこに住んでいますか?

本田
出身が南島原市なので(Uターン)、祖父の家を改修して住んでいます。
百田
南有馬町のアパートに住んでいます。生活するには不便はありませんが、人があまり多くないのでよその町と比べるとお店の数は少ないです。ただコンビニが近いのとみかん農家さんが多い地域なので、研修するには便利ではあります。

06 7ヶ月経って「よかったと思う事」「心配だと事」は?

百田
良かったと思う事は、たくさんのみかん農家さんと実際に繋がることができ、また、みかん農家さんから経営などのリアルな意見を聞ける事です。

ひとつの農家さんだけでは、その方の主観である可能性もありますが、色々な人から情報を収集できる事は、とても良い環境だと思います。

百田
心配な事は、二人とも今まで非農家だったので、肉体的にキツいというのはなんとなく想像していたのですが、これから夏本番を迎え、体力が持つか心配です。
本田
良かったと思うことは、南島原果樹フロンティア協議会が「果樹を扱う4つの農業団体」「島原農業高校」「南島原市」「長崎県振興局」で構成されているため、様々な角度からサポートを受けられることです。
本田
心配な事というか、一番気になっている事は、今後、営農していく上で必要な、「収入の確保」と「圃場の確保」です。

圃場に関しては1件候補があるのですが、果樹の難しいところは「みかんを植えてから実がなるまで、最低5年かかるところ」と「事業の引き継ぎのタイミング」。

ゼロベースで始める場合だと、5年間その圃場でのまとまった収入が得られません
また、引き継ぎ先(譲り受ける)を探す場合には、大きな圃場だと「まだ10年は自分たちでする」というスタンスの農家さんが多いですし、引き継ぎを考えられている農家さんでは、既に圃場を縮小されているケースが多く、それだけではやっていけない可能性があります。

07 改めて知った、みかんの「栽培」の大変さは?

百田
みかんの営農で大切なことは「日々の積み重ねに加えて一年毎の積み重ね」だと学びました。そのため、初期段階で上手くいかなかった場合には、大きな痛手となる可能性があります。
本田
一年に1回しか収穫が無いですからね。

肥料も、前年ではなく、一昨年の内容で、実のつき方に大きく影響を及ぼすなど、ロングスパンの考え方が必要になってきます。

百田
そうですね。その年に枝が生えても、すぐに実がなるわけではないので、「来年どのように実を成らせるか」ということを考えて、手入れをしなければいけません。

08 研修生になってわかった「南島原市での生活」の大変さは?

百田
大型ホームセンターやニトリなどは、諫早まで出ないと無いことですかね。
若い人にとっては遊ぶところがないと思われるかもしれません。ただ、マリンスポーツや釣りが好きな人にとっては、とても良い場所です。それと、自家用車はあった方が便利だと思いました。
本田
あと、飲みに行った時、その時間には公共交通機関がないので「代行」で帰らなければいけません。

09 (踏み込んだ質問ですが)「今の経済面」はどうですか?

百田
バイトも始めないといけないな、と思っています。
本田
土・日や研修終了後の時間は、バイトをして良いことになっています。
現在、年間150万円(月12.5万円)の国からの農業研修生の補助をもらっていますが、物価や電気代なども上がっているので、なかなか大変なところはあります。
百田
その補助も半年後の後払いになるため、引越し費用や住宅の契約金、家具や半年分の生活費などの出費を考えると、ある程度の貯金はあったほうが良いかと思います。

10 未来の研修生に向けて一言

百田
繰り返しになりますが、これほどたくさんのみかん農家さんや農業団体、教育機関や行政と繋がり、話しあえる農業研修制度は他にはありません。マイナス面もお話ししましたが、本気で「これから農業を志す方」にとっては、逆に、栽培技術や営農について集中して学べる良い環境になるかと思います。
本田
第1期生の私たちだからこそ、色々とみなさんにお伝えできることもあるかと思います。また、研修生同士が、共に刺激し合いながら成長し、相談や雑談もできる良い関係性を作ればと思っています。