アグリティーチャーリスト #2 ー 本多さん ー

アグリティーチャーリスト
#2 本多さん

今、集中的に取り組んでいることは何ですか?

 遊休農地の開拓ですね。研修生にも伝えるのですが、今の時代は昔のように「あちこちに分散した農地」を持つことは、効率的ではないと思うんです。だから私は遊休農地の開拓に力を入れて、1箇所に5ヘクタールほど集めることができました。

 今後は農業もドローンが活躍する時代。1箇所に農地を集めておけば、ドローンで効率的に防除ができると思います。昔は農薬散布の際に隣の土地の人に『すみません』なんてお詫びを言いながら作業しなければならなかったけど、そういうのも無くなるじゃないですか。研修生には僕が経験してきた農業とは違う、新しいやり方で取り組んでもらいたいと思っています。

休める時期は何をしている?

 私の場合、5月が休みどきです。梅雨になると草刈りが始まりますから、それまでは時間に余裕が持てます。休みの時は海外旅行も行っていましたよ。中国は3度、韓国は2度、インドネシアにも1度行きました。韓国では済州島の南側だけはみかん栽培をやっているんです。日本の関係者が教えているから、黒点病などの用語は日本語で通じるんです。他にもきゅうり畑を見たり、現地のハウスを見たりして。気づけば遊びの旅行ではなくなっていますね(笑)

栽培のコツは?

 今は温暖化がどんどん進んでいるので暑さに強い果樹、また隔年結果しない品種、そして生食だけじゃなくジュースなどの加工品に向いている品種も作った方がよいと思います。むしろ、加工品狙いなんてやり方もありかもしれない。今は香りのいいものが流行っていますよね。例えば、大分のカボスや高知のすだちとか。

 これは余談だけど、僕が若かったらベルガモットのポット栽培に挑戦したかった。香りがすごく良くて、紅茶なんかで人気なんです。日本に産地もないし、気温も高くなるし、栽培したら面白いでしょうね。

本多さんが農家をする上で “大事にしている事” は?

 とにかく情報収集を怠らないこと。国内外で何が流行っているかとか、今は簡単にインターネットで調べることができます。私も気になる品種の名前がわかったらすぐに調べるんです。常にアンテナ張っておくことが重要。周りに新しいことを話すと『何、ばか言ってんだ!』なんて反応されることもありますが、「何も知らないことが一番のリスク」だということを知っておいてもらいたいです。

 私は研修生には、現実と夢を語るようにしています。現実的なことも もちろん伝えますが『夢みたいなことやりなさい』と。昔の農家のやり方を真似する必要はありません。気候や機械など、今の時代にあった環境の中で、夢を見ながらやってもらいたいと思います。

 ちなみに私は、23歳の時に証券会社で働いていて、朝から晩まで訪問販売などもしたのですが、それは今の遊休農地を取得する上での交渉にとても役立っているんですよ。すっかり農家が長くなっていますが、若い頃の仕事も農家に活かせています。皆さんも、自分が持っているスキルを活かして頑張って欲しいですね。

アグリティーチャーリスト#2

■本多さん

■農業歴:約20年