アグリティーチャーリスト #5 ー 太田さん ー

アグリティーチャーリスト
#5 太田さん

現役農家として課題に感じていることはありますか?

 私は販売先の東京や大阪に行くことがあるんですが、そこでは全国の産地から農家が集まります。みなさん口を揃えて『後継者がいない』とおっしゃりますね。果樹は機械化が他の作物より進んでいないのが現状なんですが、そういうのが進めばもっと若者が参加しやすくなると思っています。

 また、農作物は運搬作業、収穫、消毒が全体の7割ほどのウエイトを占めているんですが、そこをどう省略していくかも課題ですね。消毒はドローンを使うのも一つの手ではありますが、ドローン散布と手散布では使える薬品が違ったり、畑も木が若くて通路があるような作り方をしていないと、満遍なく撒けないんです。これから農業を始める人はそういうところも考えていく必要があります。

”稼げる農家”になるためのコツはありますか?

 『売り方』がとても大切ですね。今は資材が高騰して経費が嵩みます。それでも価格はなかなかあげられないんですよ。だから自分が育てた作物に価値をつけることが大事です。これは実際に私が実践していることですが、節減対象農薬の使用回数を50%以下にすると”特別栽培”を名乗れるんです。そうすると都市部のこだわりの食材を販売したい事業者が高くで買ってくれます。

 新品種を育てたりするのもいいけど、私としてはそんな特別なことをしなくても、こだわりを持って商品に価値をつけて売ればお金になるということを伝えたいですね。あと、昔はこの辺でも朝市なんかして、よく商品が売れてたんだけど、最近はそういう場がなくなってしまった。今はいろんなツールがあるし、試行錯誤して売り先を確保することも大切ですね。

正直なところ、みかん農家は稼げますか?

 私個人としては不作が続くとか、経済的に困窮したということはなかったですね。そのためにはやっぱり売り方が大事だと思います。売値を下げないための工夫、あとは販路の拡大とかですね。あと、経費削減の観点で言えば、引退する農家はどんどん出てくるから、その方達から機材を譲ってもらえるとよいですよね。果樹栽培は使用する機械が少なく、ざっくりいうと運搬車・軽トラ・動噴・草刈機くらいですから、新しく始める人はそういうのを考えてもいいかもしれない。今は消費も減ってるけど、生産者もかなり減っているから、今から農業始める人はチャンスなのではないでしょうか。

これから果樹農家を目指す人へ一言お願いします!

 果樹農家は意欲があればみなさん挑戦できると思います。最初の技術は必要ありません。あとはみかんの木が教えてくれますから。私自身、農業を全く知らない人に教えるのは大変ではありませんでしたし、是非稼げるみかん農家を目指していただきたいです。

アグリティーチャーリスト #5

■太田さん

■経歴:果樹農家

■農業歴:約40年